電話をかけても話を聞いてもらえず、アポが取れない。そんなときに見直したい、トークの組み立て方と切り返しの考え方です。
公開日:2026年11月2日|文:村尾 政則
リストを見ながら受話器を持つものの、最初の一言が出てこない。やっと話し始めても、「結構です」とすぐに切られてしまう。テレアポに苦手意識を持つ営業担当者は少なくありません。
経営者としても、「うちの営業はなぜアポが取れないのか」「トークの何を直せばいいのか」と悩むところです。気合いや回数に頼る前に、トークの中身と、チームの進め方を見直してみましょう。
アポが取れない電話には、次のような共通点があります。
相手は、突然かかってきた電話に身構えています。忙しい時間に割り込まれたと感じている相手に、長い説明を続けても、話は届きません。
トークは、台本を丸暗記するものではありません。次の4つの要素を、自分の言葉で組み立てておくことが土台になります。
会社名と名前を伝えたら、すぐに電話をした理由を述べます。たとえば「御社のような製造業の方に、人手不足のご相談をいただくことが多く、お電話しました」のように、相手に関係がありそうな理由を一言で添えます。長い自己紹介は不要です。
理由を伝えたら、すぐに質問へ移ります。「現場の人手の面で、お困りのことはありませんか」と、答えやすい問いかけをします。説明を聞かされるより、質問に答えるほうが、相手は会話に入りやすくなります。
最後に、日程のお願いをします。「商品の説明をさせてください」ではなく、「他社でよく聞くお悩みと、その整理の仕方を、短くお伝えする時間をいただけませんか」と、相手にとっての得を示します。日にちは「来週のどこかで」と幅を持たせ、選びやすくするのがコツです。
トークと同じくらい、電話をかける前の準備も結果を左右します。誰に、何のためにかけるのかが決まっていないと、言葉が相手に届きません。
たとえば、リストの相手がどんな業種で、どんな悩みを持ちやすいのかを、事前に一言で書き出しておきます。電話の目的も「今日はアポを取る」だけでなく、「担当者の名前を教えてもらう」「改めて電話してよい時間を聞く」といった小さな目的に分けておくと、断られても得るものが残ります。気持ちにも余裕が生まれ、声の調子が落ち着いて、相手にも安心感が伝わります。
電話で断られるのは、普通のことです。大切なのは、断り文句の意味を知っておくことです。
「今は忙しいので」と言われたら、断りではなく、時間のことを言っているのかもしれません。その場合は「失礼しました。改めてお電話するなら、いつ頃が比較的お時間を取りやすいでしょうか」と、いったん引いたうえで、都合を尋ねます。
「間に合っています」と言われたら、「そうでしたか。今お使いの方法で、特に困っていないという理解でよろしいでしょうか」と確認します。本当に困っていないのか、とりあえず断ったのかが分かります。ここで無理に食い下がらず、お礼を伝えて電話を終える姿勢も大切です。
断りの言葉の裏にある理由を聞く点は、商談でも同じです。「上に相談します」と言われたときの切り返しでも、言葉の裏にある事情を探る考え方を紹介しています。
約28年、営業と組織づくりの現場にいた経験から言えるのは、テレアポが上手な人のトークは、無意識のうちに型になっているということです。ただ、その型が言葉になっていないと、他のメンバーには伝わりません。
最下位だったメンバーが3か月で全国10位以内に入ったとき、変わったのは本人の能力ではなく、環境と役割でした。テレアポも同じで、「最初に何を言うか」「何を聞くか」「断られたらどう返すか」をチームで共有できれば、経験の浅い担当者でも落ち着いて電話をかけられます。
トークは、一度作って終わりではありません。次のような流れで、チームの財産にしていきます。
担当者を責めるのではなく、トークや進め方を直すものとして扱うことがポイントです。そうすれば、失敗の記録が、次の電話を助ける材料になります。
アポが取れないのは、担当者の根性が足りないからではありません。相手に関係のある理由を伝え、答えやすい問いかけをし、アポの目的を情報交換にする。断られたときの返し方も決めておく。そして、その内容をチームで共有して磨いていく。この積み重ねが、電話の質を少しずつ変えていきます。営業の進め方を組織全体で整える支援は、営業・組織支援のページで紹介しています。お客様のタイプ別の台本は、お客様タイプ別 営業トーク台本集にまとめています。